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「奔豚病(ほんとんびょう)」2014年9月8日
「奔豚病(ほんとんびょう)」
世界四大文明発祥の地であり、漢方医学発祥の地である中国の医学古典に「奔豚病(ほんとんびょう)」という病気が記載されている。
これは同じ漢字文化圏である日本ではイメージを膨らますことができる。
この文字面からして豚が走るように体のなかに異常な感覚を感じる病気と言うことである。
現代的な研究によると、恐怖や強度のストレスにさらされる経験が発症に繋がっていることはわかっている。
2000年前の中国や日本は衣食住もまだ貧弱で、自然の驚異猛威に曝露され、社会的には原始階層社会で支配層以外の大半の庶民は奴隷状態である。
極端な格差社会で、多くの人々が納屋にむしろのような、厳しい生活に曝されていたであろう。
そのなかにあって、社会的立場の弱い、特に幼児や婦女子で「奔豚病」が発症したのではないだろうか。
実際に豚の走るような感覚とはなにを意味するのか?
奔豚病で死亡することはないので、心臓の期外収縮のようなものか。
病気の形跡も残らず、他人からも理解できない。
なった当人しかわからない。
私のイメージとしては、右手で子豚を抱えることを経験してみると、子豚は猛烈に嫌がり、その人の左胸を頭で突いてくる。
子豚の心臓部頭突きである。
これが「奔豚病」の感覚に近いのかもしれない。
当人は心臓が止まるのではないかというくらいの恐怖感を味わう。
中にはその場に倒れて意識を一時的に消失する人もいる。
昔も今も、恐怖のあまりの失神である。
極度の不安や恐怖の既往が背景にある病気。
この特効薬が苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう)である。
この漢方は小太郎漢方では漢方薬局や「匙クラブ」でエキスを購入できる。
開業医は保険エキスがないので、苓桂朮甘湯と甘麦大棗湯を合わせてもいいのではないか。
現代日本も極端な格差社会になっており、目を移すと母子心中、都会で認知症者の独居生活など時代が逆行した恐るべき構造があり、既視現象ではないが、漢方医は忘れてはならないと思う。(柳田)
*診療所の玄関の三角コーナーに山茱萸があり、やっと実が赤みを増しました。
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