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落ちつかない女の子2014年8月20日
以前、両親に連れられて来た女の子がいた。
目的は父親が漢方がほしくて来院したのだが、私が気になったのは付いてきた女の子である。
まだ小学校に上がる前の4歳前後の女の子で、診療所に3人で入ってくるなりその女の子供だけ玄関から出て行った。
横浜から来たので、川崎は知らない場所だろうし、迷子になってはと心配したが、両親はさほどではない。
聞いてみると、いつものことで自宅でもそうだという。
じっとしておれないという。
絶えず出たり入ったりを繰り返すのだと、困った顔をして言う。
両親以上に本人も困っているのだろう。
そこでハタッとひらめいたのが「甘麦大棗湯」だった。
甘草と小麦と大棗(なつめ)で作られた漢方で、数百年前から使われていたものである。
ひらめいたこの漢方エキスを一袋飲ませてみた。
神経質そうな子供だったが、甘くて飲み易かったせいか、本人も辛かったのか、すぐに飲んでくれた。
すると30分もしないうちに気持ちが落ち着いて、待合室で座っておれるようになった。
表情も落ち着き、両親も驚いていた。
もちろん私もその即効的効果に驚かされた。
以来、誰でも、急迫症状のある患者さんには躊躇なく出している。
それはシャープな効果が得られます。
現代人に安心して使える漢方のトランキライザーである。
※下記記事は全て引用となります。
【引用元】
有限会社オフィス・トウェンティーワン(OFFICE21.Co.Ltd)
新・東洋医学辞書V13 より引用
甘草
カンゾウ【甘草】局
[基原]マメ科植物(Leguminosae)ウラルカンゾウGlycyrrhiza uralensis Fischer、ナンキンカンゾウGlycyrrhiza glabra Linneの根およびストロン(走出茎)で、ときには周皮を除いたもの(皮去り甘草)の乾燥品。
日本薬局方正品は以上の二種を基原とし、Glycyrrhizinを2.5 %以上含む。
主成分のGlycyrrhizinを含む同属植物にG. inflata Batalin、G. korshinskyi G. Grig.などがある。
甘草は産地の名を冠してロシア甘草、東北甘草、西北甘草、新彊甘草と称することが多い。
ロシア甘草はG. glabra基原、東北甘草はウラルカンゾウG.uralensisを基原であり、漢方処方で用いられるのは後者である。
西北甘草はウラルカンゾウG.uralensisを主としナンキンカンゾウG.glabraのものがあるとされるが東北甘草とはかなり成分相が異なる。
新彊甘草はG. inflataを主であるが、ナンキンカンゾウG.glabla、G. korshinskyiのものも散見されるという。
近年、野生品の産出が減少し、各産地における基原種の構成も大きく変化しつつある。
[出典]神農本草経 上品
[別名]国老(こくろう)《名医別録》
[成分]芯部にはGlycyrrhizinほか各種配糖体を含み、これらは各種に共通に含まれる。
皮部には非配糖体性ノイソフラボノイド、フラボノイドが含まれ、各種ごとに特色ある成分を含む。
共通成分:Glycyrrhizin(甘味成分), Liquiritin, isoliquiritin, Liquiritigenin, Isoliquiritigenin(以上フラボノイド), Formononetin(イソフラボノイド)など、ロシア甘草(G. glabra):Glabridin, Glabrene, Glabrone, Glabro(以上イソフラボノイド)lなど、新疆甘草(G. inflata):Lichochalcone A-D(以上フラボノイド)など、西北甘草:Glycyrin, Glycycoumarin(以上イソフラボノイド), Kumatakenin(フラボノイド)など、東北甘草(G. uralensis):Licoricidin, Glycyrol, Licoricone(以上イソフラボノイド)など。
[効能]鎮痙、鎮咳、抗炎症、潰瘍修復、抗アレルギー作用
[用法]矯味、緩和、去痰薬、リウマチ、関節炎など
[性味]甘、平
[処方]安中散、胃苓湯、温経湯、越婢加朮湯、黄耆建中湯、黄連湯、乙字湯、葛根湯、葛根湯加川?辛夷、加味帰脾湯、加味逍遙散、甘麦大棗湯、桔梗湯、帰脾湯、?帰膠艾湯、荊芥連翹湯、桂枝加芍薬湯、桂枝加芍薬大黄湯、桂枝加朮附湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、桂枝湯、桂枝人参湯、啓脾湯、香蘇散、五虎湯、五積散、五淋散、柴陥湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡清肝湯、柴朴湯、柴苓湯、酸棗仁湯、滋陰降火湯、滋陰至宝湯、四逆散、四君子湯、芍薬甘草湯、十全大補湯、十味敗毒湯、潤腸湯、小建中湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏、小青竜湯、升麻葛根湯、消風散、参蘇飲、神秘湯、清上防風湯、清暑益気湯、清心蓮子飲、清肺湯、川?茶調散、疎経活血湯、大黄甘草湯、大防風湯、竹茹温胆湯、治頭瘡一方、治打撲一方、調胃承気湯、釣藤散、通導散、桃核承気湯、当帰飲子、当帰建中湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、当帰湯、二陳湯、二朮湯、女神散、人参湯、人参養栄湯、排膿散及湯、麦門冬湯、半夏瀉心湯、白虎加人参湯、平胃散、防已黄耆湯、防風通聖散、補中益気湯、麻黄湯、麻杏甘石湯、麻杏?甘湯、?苡仁湯、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、六君子湯、立効散、竜胆瀉肝湯、苓甘姜味辛夏仁湯、苓姜朮甘湯、苓桂朮甘湯
[産地]中国、ロシア、アフガニスタンなど
[補]過量服用で偽アルドステロン症、低カリウム血症などグリチルリチンに基づく副作用が顕在化する。
小麦
ショウバク【小麦】
[基原]コムギTriticum aestivum L.(イネ科Gramineae)の種子
[出典]神農本草経集注
[成分]糖、でんぷん、蛋白質、脂肪
[効能]止渇、止汗
[用法]精神安定薬、盗汗、ヒステリー
[性味]甘・淡、涼
[処方]甘麦大棗湯など
[産地]日本各地
大棗
タイソウ【大棗】局
[基原]クロウメモドキ科(Rhamnaceae)ナツメZizyphus jujuba Miller var. inermis Rehder (日本薬局方正品)又はその近縁植物の成熟果実を乾燥したもの。果実を夜露にあて日にさらし干したものが紅棗、これを蒸してさらに干し、皺が生じ黒味を帯びたものを黒棗という。
黒棗の表面には時として糖分が出ることがある。市場品には紅棗が多い。
[出典]神農本草経 上品
[別名]棗(そう)、紅棗(こうそう)(医学入門)、黒棗(こくそう)、乾棗(かんそう)、美棗(びそう)、良棗(りょうそう)《名医別録》
[成分]ダンマラン系サポニン:Zizyphus saponin I~III, Jujuboside B、テルペノイド配糖体:Zizyboside I, II, Roseoside、フェノール配糖体:Zizybeoside I, II、フラボノイド-C-配糖体:6,8-Di-C-glucosyl-(2S)-naringenin, 6,8-Di-C-glucosyl-(2R)-naringenin、糖類:Fructose, Glucose、多糖類:Zizyphus arabinanなど、有機酸:Malic acid, Tartaric acidなど、その他:, cyclic AMP, cyclic GMPなど。
[効能]緩和、強壮、利尿、鎮痛、鎮痙、鎮静
[用法]咳、身体攣痛、腹痛、煩躁、心悸亢進
[性味]甘、平・温
[処方]甘麦大棗湯、桂枝湯、茯桂甘棗湯、胃苓湯、越婢加朮湯、黄耆建中湯、黄連湯、葛根湯、葛根湯加川?辛夷、帰脾湯、加味帰脾湯、桂枝加芍薬湯、桂枝加芍薬大黄湯、桂枝加朮附湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、呉茱萸湯、五積散、柴陥湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝湯、柴朴湯、柴苓湯、四君子湯、炙甘草湯、小建中湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏、参蘇飲、清肺湯、大柴胡湯、大防風湯、当帰建中湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、排膿散及湯、麦門冬湯、半夏瀉心湯、平胃散、防已黄耆湯、補中益気湯、六君子湯
[産地]中国、韓国、日本各地
→紅棗(こうそう)
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